政権を握る改宪党内第二派阀领袖・寺西正毅は,现首相,桂重信から政権の禅譲を受け,この秋に首相の座に就くであろうことは众目の一致するところであった。寺西を里で支えているのは,夫人である文子と秘书の外浦卓郎である。外浦は财界の世话役である和久宏に,寺西派とのパイプ役として送りこまれ,四年前から寺西の私设秘书となっていた。寺西邸から政治献金のバックペイの金を,和久のもとへ届ける使者として立てられた银座のクラブ「オリベ」のママ・织部里子が,その金を夺われるという事故を起こした时,警察に手を回して暗から暗に葬ったのも外浦の力であった。前首相・入江宏文が急死し,政局は秋の総裁选に向け,俄かに动き始める。桂がひき続き政権を担当する意思を见せたのを受けて,外浦と和久,そして和久に囲われている里子は京都へ飞び,关西财界の有力者,望月稲右卫门から二十亿の融资を引き出した... (展开全部)